概要

ファクトリエ(ライフスタイルアクセント株式会社)は、メイドインジャパンの世界一流ブランドを目指すアパレルメーカーです。2012年に創業後、4年間で年商10億円を超える急成長を遂げ、今もなお成長を続けています。とても有名な会社なのでインターネット上でたくさんの記事が掲載されていますが、アントレプレナーズ・ジムではビジョンとビジネスモデルの観点からファクトリエの成長の秘密を分析してみました。

 

ビジョン

代表の山田さんは学生時代に留学したフランスで日本には本物のブランドがないことに気付かされました。実家が100年続く老舗婦人服店を営む山田さんは「日本には世界に誇る凄い技術があるのにもったいない」と感じ、この時に日本発の世界一流ブランドを作ることを決意したそうです。

一方で日本のアパレル国内生産量は衰退を続けており工場閉鎖や人員削減があちこちで起きています。山田さんは工場と二人三脚でこの問題に立ち向かい、日本の工場を元気にすることで日本発の世界一流ブランドを創り、いつの日か世界に誇るメイドインジャパンを復活させるというビジョンを掲げました。

ビジネスモデル

ファクトリエは高い技術力を持つ工場を探し出して提携します。ファクトリエの最も特徴的な点は「工場が表舞台に出てくる」ということです。洋服タグには工場名が併記され、販売価格も工場が決めます。これによって今まで下請け仕事が中心だった工場側が思う存分自分達の技術を発揮しながらどうしたら売れるかを主体的に考えるようになります。

こうして作られた世界の一流ブランドと同等の高品質な商品をファクトリエが顧客に販売します。銀座にショールームはありますが販売は全てECサイトで行ない、それぞれの商品がどんな工場でどんな想いを込めて作られているかが語られています。この”ストーリー”が熱狂的なファンを育て、品質に比してお値打ち価格とはいえ決して安くはない商品が買われていきます。

彼らのビジネスモデルは「パートナー(工場)の活性化」が価値の源泉になっています。その価値をファクトリエが顧客へ上手に届け、適正価格から得られた収益がパートナーに循環してますますビジネスモデルを活性化する成長サイクルが成立しています。「国内生産」という部分だけに着目すると非効率のように見えますが、ファクトリエのビジネスモデルを全体的に俯瞰すると極めて合理的に機能しています。これは他社が容易に真似することが出来ないということも意味しています。

ファクトリエのビジョンとビジネスモデルを連結するのが「工場と二人三脚」という価値観です。ここを見失わずに様々なチャレンジを続けていけば、いずれ「世界に誇るメイドインジャパンの復活」を本当に成し遂げてくれるのではないかと期待せずにいられません。