この本は起業や新規事業など予測の難しい不確実な状況で製品やサービスを創るための考え方や方法を解説しており、出版されてから10年以上が経っていますが今でも多くの起業家がこの本をバイブルとして起業に取り組んでいます。
私はリーンスタートアップのポイントを以下のように解釈しています。
起業や新規事業はやってみなければ分からない。だから仮説を立てたら 素早く小さな実験を行い、その結果から学びを得て軌道修正する。これを繰り返して大きく育てる。
このためにどのように仮説を立てるか、どのように実験を行うか、どのように結果を判断するか、そしていかに早くこのサイクルを回すか、といったことが著者の起業体験を交えて説明されています。
皆さんに読んで欲しいお勧め図書なんですが、事業の立ち上げ経験がない方にはとっつきにくい部分があるかもしれません。以下にこの本について良く質問される事を書き出してみました。

良くある質問

1.スモールスタートとは違うの?
スモールスタートは小さくても「本番」という場合が多いと思います。失敗すると後が続かないんですね。それに対してリーンスタートアップは実験です。実験の結果「仮説が合っていた 場合」も「仮説が間違っていた 場合 」もどちらも大切な成果であって、前進を止める理由にはなりません。このように一般に使われるスモールスタートとリーンスタートアップの間には明らかな差があると思います。

2.分かるけどやれる気がしない
リーンスタートアップは概念であり具体的な作業手順が示されている訳ではありません。このため「分かるけどやれない」になりがちです。そこでリーンスタートアップから派生して詳細な手順に落とし込んだ書籍がたくさん出ています。自分の置かれてる状況に応じてこうした書籍も読んでみると少しスッキリすると思います。
・Running Lean――実践リーンスタートアップ
・リーン顧客開発――「売れないリスク」を極小化する技術
・リーンブランディング――リーンスタートアップによるブランド構築
・その他多数

3.革新会計がさっぱり分からない
急に会計の話が出てきて頓挫する人が多いです。不確実な状況で実験を繰り返す起業において一般的な事業で使われる指標(売上や利益)では判断が出来ませんよということです。特に重要な概念に「虚栄の指標」があります。例えばSNSとかで「いいね!」をたくさん集めても顧客の購入に結び付いていなければビジネスとしては成り立っていないわけです。人は無意識に「結果を良く見たい(見せたい)」と思うために誤った指標に注目してしまいます。仮説を検証するのに適切な指標を設定することが大切で、そのためにコホート分析などの手法が紹介されています。

4.この通りやれば成功するのか/失敗しないのか?
Noです。そもそも成功の基準は人によって違うので一概には言えないのですが、1つの手法でビジネスが成功したら世の中成功者だらけになってしまいます。大切なのは目の前で現実に起きている事象であり、書籍に書いてあるやり方に捕らわれすぎるのは良くないと思います。ですが、とても優れた手法であることは間違いありませんし、リーンスタートアップを知っていれば回避できる「ムダ」がたくさんあります。また起業に慣れてない方が一歩目を踏み出す際にはとても良い型だと思います。

アントレプレナーズ・ジムでは「起業を目指す人のための小さく始めて大きく育てる事業の作り方」という名前で定期的に基礎講座を開催しています。この講座は会員以外の方もご参加頂けますのでリーンスタートアップにご興味のある方はお越しください(開催日程はスケジュールをご覧ください)。